宵衣堂は日本各地に伝世する”自然布”を収集・研究し、それらについての講演・執筆などの活動を行っております。それは単に衣服としてのものだけではなく、先人の自然との共生の象徴でもあるのです。
また古代織産地連絡会事務局員としても活動し、文化の継承に尽力して参ります。
かつての日本人は、山野に自生するもの、または栽培した有用な植物から繊維を取り出し、糸を績み、布を織り上げ、生活に不可欠な衣服を賄っていました。
それは単に自給という側面だけではなく、それは地域性やその気候風土・共同体の存在に裏打ちされた存在なのです。
宵衣堂は自然布や着物に関する執筆・講演、多くの展示等を行い、またその開催をサポートして参りました。
古布を使った着物・装束の復元や新調、遺された個人コレクションの整理・分類、着物・時代資料の展示会の協力等の幅広い活動を行い、古い資料を現代に活かすこと、その伝世した意味を伝えて参ります。
2024
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”自然布”という言葉を、聞き慣れない方も多いことかと思います。なんとなく自然で、ナチュラルなものであると印象をもたれるでしょうか。
人によっては「古代布」や「原始布」、または「草木布」とも呼ばれることもあります。それぞれにニュアンスは違っても、土や自然の延長の布というイメージですね。
では見方を変えてみましょう。
自然由来であれば、全て自然布と言えるのでしょうか?
私達の周りにあふれる化学繊維や人工物も、元をたどれば全て天然のものです。素直に振り返ってみると、”自然から発していない物は何一つとして無い”ことに気づかれることでしょう。つまりは天然由来=自然ではないのです。
自然布とは植物から作られるだけではなく、かつての日本人の営みを象徴する布であり、人と自然の共生の象徴としての存在なのではないかと思うのです。
かつての日本人は何を身にまとっていたのか。木綿が広く一般に広まったのは、そう昔のことではありません。それ以前は山野の植物から繊維を取り、もしくは栽培して日々の衣服を賄っていました。
日本各地に、その土地に根ざした自然布が伝承しています
それらの布は日々の生活の中で作り・使われ、そして最後は灰となり、土に戻っていきます。特に衣服は肌に直接身につける唯一のもの。皮革でも、木でも、金属でもなく、布こそ人の肌に一番近いものであり、人の生活と不可分な存在だったのです。
そんな自然布は過去の遺物などではなく、現在でも作り続けられています。そして自然布を通して見えるかつての情景は「貴方はこれからの時代をどう生きるのか」と強く今を生きる私たちの胸に訴えかけてきます。
宵衣堂は、そんな”自然布の情景”を現代に伝える活動をしております。そのことを現代を生きる一人一人が我が事として受け止め、自らの生き方の一つの指標となることを願ってやみません。
平成最後、そして新元号の年のはじめに
宵衣堂 小野 健太