上質な苧麻の糸によって作られた、禅僧の法衣。
袖・裾の覆輪(ふくりん・一種の縁布)、腰部の紐には紫の絹布が用いられ質素ながら威厳を感じる装束です。
実は「法衣」という名称は近代のもので、当時の名称は「本衣」もしくは単に「衣」と呼ばれていました。
古名には「直綴」(じきとつ)というものもあり、これは上衣と下衣に分かれていたものを縫い綴った、
という故事に因んだものです
資料をじっくり調べてみると、確かに布の裁ち目が透け、上下で縫われている痕跡が見えます。
衣服の変遷において、古い形を踏襲するという原則がありますが、それを目の当たりにした思いです。
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