アイヌの「アットゥシ」とは、樹皮から織り上げた布を指すだけではなく
仕立て上げ、刺繍を施した着物をも含んだ言葉です。
そして原材料も複数の植物が使われ、用途に応じて使い分けておりました
シナノキから織り上げた布は固く、茶褐色であり
オヒョウから作られたものは柔らかく、白っぽい色目をしています
かつてはハルニレの木からもアットゥシが作られたといいますが、
繊維が弱く、あまり着用に適さなかったそうです
彼らにとっての上等な布はあくまでオヒョウであり、儀礼用・貴重な衣服として珍重したといいます。
そして、オヒョウのアットゥシをじっと見つめていると、どことなく女性っぽい
木の皮から作られたとは思えないほどなめらかで、なんて優しい布なのだという印象を持ちます。
いったいどんな人が身にまとっていたのだろう
これを来ていた人は、どんな生活を送っていたのだろう
どれ程の人の手を経て、今ここに、この布はあるのだろう
知識や先入観を外して、モノと真摯に向き合っていると見えてくる情景があります。
それは時代も空間も超えた、モノとの対話とも言うべきもの、なのかも知れません
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上原牧子 (土曜日, 13 6月 2020 21:06)
自然環境の中で営々と続いている美しいものに出会った感じで嬉しく、感動しています。
宵衣堂 (日曜日, 14 6月 2020)
上原さま
心に響くものがありましたようで嬉しく思います、多くの方に自然布をって頂けるよう
これからも活動を続けて参りたいと思っております
なおアットゥシの解説は先日発売した「自然布 土から生じて土へと還るもの」にも掲載しています
ネットショップからご購入できますので、合わせてご参考になさって下さい