自然布とは単なる布としてではなく、人と自然の関係の上にあって初めて存在しうるものだと考えています
工業製品ではなく、植物から作られる手仕事の布であり、
衣服として肌に直接身にまとう、ほとんど唯一のもの。
また、その土地の共同体のもとで作られ、郷土の文化・信仰とも密接に関係するものであり
日常の衣服というだけではなく、様々な日用品の素材ともなり
地域の産業として大規模な生産・流通を前提に作られているものもあります。
人の生活全体に関わる広大な裾野を持つために、その全体像を把握するのは困難です
これまでの書籍では、主に民俗学・歴史的な視点からだけで
その全体像が示されてないことに、非常に物足りなさを感じておりました
加えて自然布に近い言葉としては「古代布」や「原始布」「草木布」など
様々な用語が使われていますが、意味合いやその分野が少しづつ異なり
しっかりとした定義もなされておりません
そこで今回の書籍では言葉の再定義しました
宵衣堂の考える「自然布」とは、以下のような存在です
・植物を原料とした、人の手技によって作られた布であること
・身にまとう衣服として、伝統的な生活の中で作られてきたもの
・畏敬の念や信心を持ち、土地に根ざした共同体のもとで作られてきたもの
・人間と自然界に隔たりがなく、あまねく自然の中の、人のいとなみとして存在すること
・身体に準じる存在として、人を守るもの。土から生まれて、土へと還っていくもの。
自然布とは懐古主義ではなくて、時代を超える価値観であり
これからの時代を照らす一燈であると信じてやみません
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