【  資料紹介 葛布素襖 】

 

自然布それぞれに十人十色の特長がありますが葛布ほど高貴な人々から好まれた布もないでしょう

 

一般に自然布と言えば庶民が用いた粗野なもの、荒々しいものを想像されるかと思いますが

葛布にはそれがまるでない。光をまとうような光沢と軽さ、そしてハリがあるのです。

 

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撚りをかけない葛の平糸を使うことにより

裃や装束のようにシャープな輪郭を出せる一方で絹のような滑らかさも併せ持つ。

しなやかとハリという相反する特性を持つこの布は武家や貴族階級の人々に大いに用いられました

 

本資料は武家が用いた礼装の素襖(すおう)

通常は染料による片面染めですが、これは顔料を用いて両面染が施されています

 

洗練されていながら、武家好みの質実剛健さを併せ持つ装束です