【「布 」展・資料解説 大麻布の型染め 】

かつての東北の人々にとって、

柄のある衣服を身にまとうことは、特別なことを意味していました

自分や家族の衣服を作ることを、少し想像してみて下さい

 

農村の女性たちは自ら布を織っていましたが、絣は特殊技術であり、

誰もが作れるものではありませんでした

 

加えて、素材も限られたものしかありません

農作業の傍らに麻を植えて、木綿は糸が多少手に入る程度

 

そんな人々が柄のある着物を作ろうとするのならば

綿糸を刺し綴って「こぎん」を施すか、もしくは麻布を織って、

それを紺屋に持ち込み、型染めをしてもらうか

選択肢はそう多いものではありません

 

東北の型染めには麻布が多く用いられていますが

その背景にはこういった事情があるのです

 

貧しい中にあっても、少しでも美しい衣服を身にまといたい

じっと資料を見つめていると、そんな願いが伝わってくるようです

(本資料はイメージボード、図録表紙に使われています)

 

「布」展もいよいよ後半戦、明日より後期展示となり

こぎん・菱刺しを中心に十数点の展示替えを行っています

中々身動きの取れない状況ではありますが

多くの方にご覧頂けましたら幸いです

 

 

型染掻巻

通期展示

原始布・古代織参考館所蔵

●横浜市歴史博物館 「布 うつくしき日本の手仕事」展

7/17(土)〜9/20(月祝) 月休

横浜市都筑区 横浜市営地下鉄「センター北駅」徒歩5分