東北の代表的なアットゥシ、こぎん、菱刺、襤褸などの布を
実際に見て・触っていると、「人にとっての衣服とは何なのだろう?」
と考えさせられてなりません
衣服とは、暑さ・寒さ、藪や茨などの外的環境から身を守るだけではなく
地域の共同体の帰属や紐帯を表すものでもあり、
同時に「祈り」や「念」のようなものが込められるものでもあります
それと同時に、極めて現実的な問題として東北の厳しい寒さを凌ぐために、
現代では想像できないような根気のいる手仕事が行われ、
また同時に、日々の生業として布が作られそれらが流通していく姿も浮かび上がります
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人の基本的な生活を「衣食住」と言いますが、
真っ先に「衣」が挙げられているのは、人にとって衣服はそれだけ根源的なものであり、
それが生きていく上で不可欠なものだったのでしょう
一日二日、飲まず食わずに耐えられたとしても吹雪の中にあっては、
衣服なしでは一晩たりとも生きられないのですから
これらの布を知ることは、懐古主義的なものではなく、翻って
現代に生きる私達が、これからの時代をどう生きていくのか、という問いでもあると思うのです
お一人お一人が自身の問題として、
何か一つでも学びや発見があれば嬉しく思います
会期も残すところ一週間となりました。中々身動きも取りづらい状況ではありますが
またとない今回の企画展をきっかけとして実際に布に向き合い、その魅力を感じて頂けましたら幸いです
皆様のご来場をお待ちしております
●横浜市歴史博物館 「布 うつくしき日本の手仕事」展
7/17(土)〜9/20(月祝) 月休
横浜市都筑区 横浜市営地下鉄「センター北駅」徒歩5分
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